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SUS深穴加工と医療応用

【高精度SUS加工】深穴加工技術&医療機器部品への応用|ガンドリル加工(φ0.5~30mm・L/D最大40)

SUS材の深穴加工技術と医療用途への応用

~株式会社ハイタックが支える高精度加工の現場~

医療機器、手術器具、インプラントなど、医療分野における高い安全性と精度の要求に応えるため、SUS材(ステンレス鋼)は欠かせない材料です。耐食性や生体適合性に優れる一方、低熱伝導性や加工硬化の特性から、深穴加工には高度な技術とプロセス管理が求められます。ここでは、SUS材の深穴加工における技術的課題とその対策、さらに医療分野での具体的応用例について詳しく解説いたします。

目次


1. SUS材の特性と深穴加工における技術的課題

1.1 SUS材の基本特性

  • 耐食性・生体適合性
    オーステナイト系(例:SUS304、SUS316L)は、体液や血液などの過酷な環境下でも不動態被膜が形成され、長期にわたって耐食性を維持します。特にSUS316Lは、低炭素化により溶接部の耐食性も高め、医療インプラントに最適です。
  • 加工硬化と熱伝導率の低さ
    加工時に急速な加工硬化が発生するため、工具への負荷が大きく、切削条件の最適化が必要です。また、熱伝導率が低いことから切削熱が工具先端に集中し、工具摩耗や寸法精度の低下を招くことが課題となります。

1.2 深穴加工に特有の課題

  • 高アスペクト比による熱管理の難しさ
    深穴加工(穴深さが穴径の4倍以上)では、切削時に発生する熱の局所蓄積が問題となり、工具寿命の低下や加工精度の悪化を引き起こします。これに対して、高圧クーラント供給や極低温冷却技術が効果的です。
  • 切りくずの排出と工具摩耗
    切りくずが長く帯状になりやすく、穴内に滞留すると工具の詰まりや刃先の摩耗、さらには加工硬化の悪影響が顕著となります。これを防ぐため、ガンドリル加工のように、内部に専用溝を設けた工具によって効率的に切りくずを排出する手法が採用されています。

2. 高度な深穴加工技術とその対策

2.1 ガンドリル加工の活用

株式会社ハイタックでは、ガンドリル加工を用いて、直径0.5mmから30mmまでの穴あけ加工を実現しており、L/D比(穴の長さと直径の比率)は最大400まで対応可能です。

  • 内部溝による高圧クーラント供給
    工具内部に設けられた溝を通じて高圧クーラントを供給することで、切削点の冷却と切りくずの排出を同時に実現。これにより、切削熱の蓄積を防止し、工具摩耗を低減します。
  • 高精度な穴あけと真直度の確保
    最適な切削パラメータと高剛性工具を活用することで、深穴加工においても極めて高い寸法精度と真直度が達成され、医療機器に求められる厳密な要求をクリアしています。

2.2 補助加工技術と後処理

  • 放電加工(EDM)・レーザー加工
    機械的切削が困難な極細穴や複雑形状の加工には、放電加工やレーザー加工を併用します。これらは加工硬化の影響を受けにくく、微細加工に適していますが、加工後は電解研磨や化学エッチングにより熱影響層(白層)の除去と内面仕上げの向上が図られます。
  • 表面パッシベーション処理
    医療用部品では、耐腐食性と表面の滑らかさが特に重要です。電解研磨によって鏡面仕上げを実現し、その後のパッシベーション処理で微細欠陥を除去することで、長期間にわたる耐食性が保証されます。

3. 医療分野でのSUS材の応用と具体例

3.1 医療機器部品への応用例

  • 手術器具
    マルテンサイト系(例:SUS420、SUS440)を使用した手術用ハサミや鉗子は、熱処理による高硬度と耐摩耗性を実現し、繰り返しの滅菌工程にも耐える設計となっています。
  • インプラント・骨固定具
    SUS316Lなどのオーステナイト系は、体内環境においても安定した耐食性と生体適合性を示すため、骨固定具やプレート、スクリューとして広く利用されています。
  • 微細部品(針、カテーテル部品)
    高精度な深穴加工技術により、直径数百ミクロンの注射針や内視鏡、ステントなど、極めて細かな部品の寸法精度と複雑な内部形状が実現可能です。

3.2 医療用部品に必要な特性

  • 耐食性
    高濃度のクロムやモリブデンを含むSUS材は、体液や薬剤環境下でも優れた耐食性を発揮し、長期使用に耐える部品の実現に寄与します。
  • 耐摩耗性と寸法精度
    複数回の滅菌サイクルにも耐えうるため、工具摩耗の低減や高精度な仕上げ加工が重要です。超硬工具や最適な切削パラメータの設定により、安定した製品品質が維持されます。
  • 生体適合性
    ニッケル等のアレルギー原因元素を最小限に抑えた材料設計や、表面改質技術により、生体適合性の向上と共に、微生物の付着防止効果が期待されます。

4. まとめ

SUS材は、その高い耐食性、生体適合性、強度から医療分野で不可欠な素材ですが、深穴加工においては工具摩耗、加工硬化、熱管理、切りくず排出といった技術的課題が伴います。株式会社ハイタックでは、直径0.5mm~30mm、L/D比最大400に対応するガンドリル加工を中心に、放電加工やレーザー加工などの先進技術を駆使することで、極めて高い精度と耐久性を持つ部品の製造を実現しています。

医療機器の安全性と高精度な部品供給に向けた最先端技術をお求めの方は、ぜひ【株式会社ハイタック公式サイト】をご覧ください。


お問い合わせや詳細情報につきましては、【株式会社ハイタック公式サイト】までお気軽にご連絡ください。

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